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公嘱栃木は官公署等が行う不動産表示登記手続きをサポートいたします。

TEL. 028-678-9990

〒320-0071 栃木県宇都宮市野沢町3-3 犬塚商事ビル1F

業務案内/Q&ASERVICE / Q&A

Q & A <Vol.1 協会全般について>

Q&A<Vol.1>について
Q&Aについて
 当協会に問い合わせがあった事項についてQ&Aを作成いたしました。ぜひ、嘱託登記業務担当の方々に参考にしていただきたいと思います。
 このQ&Aに記載されていない事項については、当協会にメール等でお問い合わせください。

Q1 . 土地家屋調査士とは
Q2 . 土地家屋調査士になるには
Q3 . 公嘱協会の組織とは
Q4 . 協会が業務を行うメリットとは
Q5 . 協会の賠償責任はどうなっていますか
Q6 . 地積測量図の作成について
Q7 . 公嘱協会の制度と独占禁止法との関係は
Q8 . 地方自治法と公嘱協会との関係は
Q9 . 土地家屋調査士法と測量法との違いは



 Q & A <Vol.2 表示登記総論>
 Q & A <Vol.3 地図訂正シリーズ1>
 Q & A <Vol.4 地図訂正シリーズ2> 
2012/2/23update
 

Q1.土地家屋調査士とは

A 不動産の表示に関する登記手続を円滑に実施することにより、不動産についての国民の権利を明確にするために設けられた資格制度です。

土地家屋調査士法
(業務)
第3条  調査士は、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
 不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量
 不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続についての代理
 不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続について法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第五号において同じ。)の作成
 筆界特定の手続(不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)第六章第二節 の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。次号において同じ。)についての代理
 筆界特定の手続について法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録の作成
 前各号に掲げる事務についての相談
 土地の筆界(不動産登記法第百二十三条第一号 に規定する筆界をいう。第二十五条第二項において同じ。)が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続(民間事業者が、紛争の当事者が和解をすることができる民事上の紛争について、紛争の当事者双方からの依頼を受け、当該紛争の当事者との間の契約に基づき、和解の仲介を行う裁判外紛争解決手続(訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続をいう。)をいう。)であつて当該紛争の解決の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として法務大臣が指定するものが行うものについての代理
 前号に掲げる事務についての相談
 前項第七号及び第八号に規定する業務(以下「民間紛争解決手続代理関係業務」という。)は、次のいずれにも該当する調査士に限り、行うことができる。この場合において、同項第七号に規定する業務は、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、行うことができる。
 民間紛争解決手続代理関係業務について法務省令で定める法人が実施する研修であつて法務大臣が指定するものの課程を修了した者であること。
 前号に規定する者の申請に基づき法務大臣が民間紛争解決手続代理関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定した者であること。
 土地家屋調査士会(以下「調査士会」という。)の会員であること。
 法務大臣は、次のいずれにも該当するものと認められる研修についてのみ前項第一号の指定をするものとする。
 研修の内容が、民間紛争解決手続代理関係業務を行うのに必要な能力の習得に十分なものとして法務省令で定める基準を満たすものであること。
 研修の実施に関する計画が、その適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
 研修を実施する法人が、前号の計画を適正かつ確実に遂行するに足りる専門的能力及び経理的基礎を有するものであること。
 法務大臣は、第二項第一号の研修の適正かつ確実な実施を確保するために必要な限度において、当該研修を実施する法人に対し、当該研修に関して、必要な報告若しくは資料の提出を求め、又は必要な命令をすることができる。
 調査士は、第二項第二号の規定による認定を受けようとするときは、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない。

 

Q2.土地家屋調査士になるには

A 年1回行われる土地家屋調査士試験に合格し、日本土地家屋調査士会連合会に備える土地家屋調査士名簿に登録すると共に、事務所を置こうとする地にある土地家屋調査士会に入会しなければなりません。


土地家屋調査士法
(資格)
第4条  次の各号のいずれかに該当する者は、調査士となる資格を有する。
一  土地家屋調査士試験に合格した者
二  法務局又は地方法務局において不動産の表示に関する登記の事務に従事した期間が通算して十年以上になる者であつて、法務大臣が前条第一項第一号から第六号までに規定する業務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認めたもの

(土地家屋調査士名簿の登録)
第8条 調査士となる資格を有する者が調査士となるには、日本土地家屋調査士会連合会(以下「調査士会連合会」という。)に備える土地家屋調査士名簿に、氏名、生年月日、事務所の所在地、所属する土地家屋調査士会その他法務省令で定める事項の登録を受けなければならない。

(登録の申請)
第9条 前条第1項の登録を受けようとする者は、その事務所を設けようとする地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された調査士会を経由して、調査士会連合会に登録申請書を提出しなければならない。

<2項省略>

(調査士の入会及び退会)
第52条 第9条第1項の規定による登録の申請又は第13条第1項の変更の登録の申請をする者は、その申請と同時に、申請を経由すべき調査士会に入会する手続をとらなければならない。
<2項以下省略>


 

Q3.公嘱協会の組織とは

A 官公署の大規模な発注にも応えられるよう、専門能力を有する土地家屋調査士により組織的に一貫した業務処理態勢が敷かれています。
• 社団法人として昭和61年1月28日に法務大臣の許可を得て設立
• 全  国: 50協会
• 栃木協会: 全県を大きく6ブロック:11地区に再分化し「登記アドバイザー」
       による登記無料相談をとおして、地域に密着した啓発活動を行っております。
• 社 員 数: 127名(土地家屋調査士) 平成23年6月30日現在
• 社団法人  栃木県公共嘱託登記土地家屋調査士協会(特例民法法人)

土地家屋調査士法
(設立及び組織)
第63条  その名称中に公共嘱託登記土地家屋調査士協会という文字を使用する一般社団法人は、社員である調査士及び調査士法人がその専門的能力を結合して官庁、公署その他政令で定める公共の利益となる事業を行う者(以下「官公署等」という。)による不動産の表示に関する登記に必要な調査若しくは測量又はその登記の嘱託若しくは申請の適正かつ迅速な実施に寄与することを目的とし、かつ、次に掲げる内容の定款の定めがあるものに限り、設立することができる。
一  社員は、その主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に事務所を有する調査士又は調査士法人でなければならないものとすること。
二  前号に規定する調査士又は調査士法人が社員になろうとするときは、正当な理由がなければ、これを拒むことができないものとすること。
三  理事の員数の過半数は、社員(社員である調査士法人の社員を含む。)でなければならないものとすること。
2  前項に規定する定款の定めは、これを変更することができない。


 

Q4.協会が業務を行うメリットとは

A, 官公署職員の皆様は、手間のかかる調印作業及び登記手続等から解放されます。 
• 土地家屋調査士が測量、図面作成者として押印し、責任をもつため、将来にわたって官公署の事故責任が飛躍的に軽減されます。
• 統一した成果品の納入ができます。
• 登記手続きの大きな障害となっている、地図問題についても、専門家である土地家屋調査士ならば、スム-ズに嘱託手続きを処理することができます。

 

Q5.協会の賠償責任はどうなっていますか

A, 協会においては、土地家屋調査士の有資格者である社員が、高度の専門的知識と技能を駆使して常に綿密な注意を払って業務を執行しております。
また協会では業務の成果について、成果品の内容を点検・確認するなど業務上の責任を組織が保障することとなっていますが、協会が受託した事件の処理に関し、万一、損害賠償の請求を受けた場合の損害補償は「損害賠償責任保険」により補償するものとしています。



 

Q6.地積測量図の作成について

A, 法務局に提出する地積測量図の作成者は、自ら調査、測量を行った者であり、現地の復元、隣接地との境界について責任のある者でなければなりません。
地積測量図作成者は将来において、万一事故が表面化すれば、その責任を問われます。
土地家屋調査士以外の者が業として行った場合は土地家屋調査士法第68条に違反し、刑事罰が課せられます。

<参考情報>
•照会
昭和61年8月25日付全公連発第26号
全国公共嘱託登記土地家屋調査士協会連絡協議会会長
地積測量図の作製者について(照会)

 社団法人公共嘱託登記土地家屋調査士協会は、設立の目的を達成するため公共嘱託登記事件の適正な処理に努力しているところでありますが、一部の官公署等から第三者の調査、測量の成果にもとづいて地積測量図の作製を要請される場合があります。その場合地積測量図に記載すべき作製者については、下記のとおりと解しますがいささか疑義がありますので照会します。
                    記
 不動産登記法施行細則第42条の4第4項が地積測量図には申請人のほか作製者が署名押印すべきものとしている趣旨は、その図面の正確性を担保とすることにあると解されるから、その図面に表示された土地について実際に調査・測量した者(官公署等の職員であると、私人であるとを問わない)が作製者として署名押印すべきである。
■別紙甲号
•照会
昭和61年9月1日付日調連発第104号
日本土地家屋調査士会連合会会長
地積測量図の作製者について(照会)

 表記の件について、別紙のとおり全国公共嘱託登記土地家屋調査士協会連絡協議会会長から照会があったので、同協議会長の意見のとおり解して差し支えない旨回答したいと考えますが、いささか疑義がありますので照会します。

•依命通知
昭和61年9月29日付法務省民三第7272号
法務省民事局第三課長
地積測量図の作製者について(依命通知)

 表記の件について、別紙甲号のとおり照会があり、別紙乙号のとおり回答されたので参考までに通知します。
■別紙乙号
•回答
昭和61年9月29日付法務省民三第7271号
法務省民事局長
地積測量図の作製者について(回答)
 本月1日付日調連発第104号をもって照会のあった標記の件については、貴見により回答して差し支えありません。おって別紙民三第7272号のとおり各法務局長及び地方法務局長あて通知したので申し添えます。
•解説
法務省民事局第三課 坂巻 豊
地積測量図の作製者について(依命通知)
 土地の表示登記申請(不動産登記法第80条第2項)、土地の地積変更登記申請(同法第81条第2項)、土地の分筆登記申請(同法第81条の2第2項)等の申請書に添付することとされている地積測量図には、作製者が署名捺印することとされている(不動産登記法施行細則第42 条の4第4項)。
 この趣旨は当該土地の物理的客観的な状況を正確に登記簿の表題部に反映させる必要上、作製者に対し、当該土地の調査・測量を正確に実施するとともにこの成果を正確に地積測量図に表示することを要請し、もって当該登記申請の真正を担保するとともにその結果に対する責任の所在を明確にするためと解されるので、地積測量図の作製者欄に著名捺印するべき者は、実際に現地を調査・測量し、その成果に基づいて地積測量図を作製した者でなければならないと回答されたものと考える。
 なお本回答により、登記官の実地調査等により、登記申請書に添付されている地積測量図の作製者欄に当該土地を調査・測量した者以外の者が署名・捺印されていることが明らかとなった場合は、補正を命じ、この補正に応じない場合には、申請書に必要な図面の添付がないことと評価せざるをえないであろう。
•照会
昭和57年6月22日付日調連総発第90号
日本土地家屋調査士会連合会会長
土地家屋調査士法第19条(現行第68条)該当事項について(お伺い)
 測量士等が業として他人(官公署、個人を問わない)の依頼を受けて、不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査・測量をすること及び地積測量図等を作製することは、土地家屋調査士法第19条第1項本文(現行第68条)の規定に該当するものと解しますが、いささか疑義がありますので何分のご指導を賜りたくお伺いいたします。
•回答
昭和57年9月27日付法務省民三第6010号
法務省民事局長
土地家屋調査士法第19条(現行第68条)該当事項について(回答)
本年6月22日付日調連総発第90号をもって照会のあった標記の件については、貴見のとおりと考えます。
•質問
昭和60年4月19日第102回国会衆議院法務委員会
柴田睦夫委員
 土地家屋調査士法第19条(現行第68条)該当事項について(要旨)
この見解から見ますと、官公署と言えども、嘱託登記に際し登記所に提出すべき地積測量図などを測量業者が作製することは、その測量業者について、大体繰り返し行わせるでしょうから、法第19条(現行第68条)違反の疑義も生じてくる余地があるのじゃないかと思いまが、いかがでしょうか。
•答弁
枇杷田泰助法務省民事局長
 土地家屋調査士法第19条(現行第68条)該当事項について(要旨)
登記所に提出する事になるいろいろな書類でございますが、そういうものを作成する、図面をつくるというようなことは土地家屋調査士がやらなければならないわけでございます、本人申請の場合は除きますけれども。従いまして、そういう仕事を業として土地家屋調査士の資格のないものが受けるという場合には、ただいまお示しの調査士法の19条(現行第68条)違反になろうかと思います。



 

Q7.公嘱協会の制度と独占禁止法との関係は

A, 独占禁止法に抵触しない。
<理由> 自由経済社会における経済取引においては、需要と供給のバランスの中において、常に競争原理が働いています。このことは、土地家屋調査士法の一部改正案について、国会の両院における法務委員会の審議の中においても明らかにされ、公嘱協会が独占排他的な意図で設立されるものでなく、公正取引委員の出席発言でも、独占禁止法に抵触しないと発言されております。官公署等の契約は、常に有利な契約を求められており、国の場合は、会計法予算決算会計令、地方公共団体においては、地方自治法、同施行令の規定が適用されます。従って、公嘱協会としては、社会のニ-ズにお応えするよう常に最大の努力の中で、安価でより優れた成果品を適正且つ迅速に実施することを目標に研鑽いたしております。当協会は、土地家屋調査士の専門家集団として、永年の経験を生かし今日では多くの官公署等に満足していただける公益法人組織になったと自負しております。


 

Q8.地方自治法と公嘱協会との関係は

A,  公嘱協会と官公省等の業務契約については、地方自治法施行令第167条の2第1項第2号及び第4号並びに第6号に該当するものと考えられます。

地方自治法
(契約の締結)第234条
1. 売買、賃貸、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。
2. 前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。(3項以下省略)

地方自治法施行令
(随意契約)第167条の2
地方自治法第234条第2項の規定により随意契約によることができる場合は、次の各号に掲げる場合とする。
1. (省略)
2. 不動産の買入れ又は借入れ、普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約で、その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。
3. 緊急の必要により競争入札に付することができないとき。
4. 競争入札に付することが不利と認められるとき。
5. 時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき。 
6. 競争入札に付し入札者がないとき、又は再度入札に付し落札者がないとき。 
7. 落札者が契約を締結しないとき。
(2項以下省略)

参考
随意契約とは
最高裁判所は随意契約について、長所、短所を示し、次のように判示しています。

{最高裁判所S62.03.20 第二小法廷・判決57(行ッ)74 損害賠償(第41巻2号189頁)
長所 手続が簡略で経費の負担が少なくてすみ、しかも、契約の目的、内容に照らしそれに対応する資力、信用、技術、経験等を有する相手方を選定できる。
短所 契約の相手方が固定化し、契約の締結が情実に左右されるなど公正を妨げる事態を生じるおそれがある。
 地方自治法施行令(昭和49年改正前の)第167条の2第1項第1号(現行第2号)に掲げる「その性質又は目的が競争入札に適しないものとするとき」とは、不動産の買入れ又は借入れに関する契約のように当該契約の目的物の性質から契約の相手方がおのずから特定の者に限定されてしまう場合や契約の締結を秘密にすることが当該契約の目的を達成する上で必要とされる場合など当該契約の性質又は目的に照らして競争入札の方法による契約の締結が不可能又は著しく困難というべき場合がこれに該当することは疑いないが、必ずしもこのような場合に限定されるものでなく、競争入札の方法によること自体が不可能又は著しく困難とはいえないが、不特定多数の者の参加を求め競争原理に基づいて契約の相手方を決定することが必ずしも適当でなく、当該契約自体では多少とも価格の有利性を犠牲にする結果になるとしても、普通地方公共団体において当該契約の目的、内容に照らしそれに相応する資力、信用、技術、経験等を有する相手方を選定しその者との間で契約の締結をするという方法をとるのが当該契約の性質に照らし又はその目的を究極的に達成する上でより妥当であり、ひいては当該普通公共団体の利益の増進につながると合理的に判断される場合も同項一項に掲げる場合に該当すべきものと解すべきである。
 そして、右のような場合に該当するか否かは、契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的として普通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えている前記法及び令の趣旨を勘案し、個々具体的な契約ごとに、当該契約の種類、内容、性質、目的等諸般の事項を考慮して当該普通地方公共団体の契約担当者の合理的な裁量判断により決定されるべきものと解するのが相当である。



 

Q9.土地家屋調査士法と測量法との違いは

A, 地家屋調査士法と測量法との相関関係につての説明

(1)土地家星調査士法
 土地家星調査士法第2 粂は「調査士は、他人の依頼を受けて、不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査、測量、申請手続又は審査請求の手続をすることを業とする」と規定しており、登録した調査士以外のものは調査士の業務を行うことはできないものとされております(調査士法第19条)。
 調査士は、その業務を行うにあたっては、法令、通達及び調査士会の制定する要領(調査測量 実施要領)等に準拠して公正かつ誠実に業務を行い、迅速かつ適正に事件を処理しなければなりません。(調査士法第1 条の2 )。

(2)測量法
 測量法第2 条は「土地の測量は、他の法律が定める場合を除いて、この法律の定めるところによる」と規定しています。  測量法は、測量について① 基本測量、② 公共測量、③ それ以外の測量の3 種類に分類し、このうち、公共測量は、一定規模以上(路線の長さ6kmを越える多角測量や、面積が7㎢を越える面積測量等)の、官公署が計画機関として行う測量に適用される測量であります。
 この公共測量については、これを実施する計画機関が作業規程を作成して国土交通大臣の承認を得る必要があります。(測量法第33 条)。  測量法第33条に基づき、建設省が計画機関として公共測量を行うために定めた作業規程が、「建設省公共測量作業規程」(以下「作業規程」という。)であります。
 「作業規程」は、〈土地及び境界等について調査し、用地取得等に必要な資料及び図面を作成する作業〉を「用地測量」と定義して(作業規程第42 4条)、さらに、作業項目を、資料調査、境界確認、境界測量、面積計算等に細分し、それぞれについて作業内容を定めており(作業規程第425条)また「作業規程」は、測量法に規定する測量業者以外は、公共測量を請け負うことができない旨を規定しております。(作業規程第7 条)
 そこで、測量法の公共測量の規定、そして「作業規程」の「用地測量」の規定から、「用地測 量」は、測量業者の専門分野と解されております。
 測量法と土地家屋調査士法は、測量に関する一般法と特別法の関係にあり、登記を目的とする 土地の調査、測量の業務は、調査士の専門分野と解されております。

(3)法秩序維持のための諸原理
 我国において、法としての全体の数は数えきれないほどの数になりますので一見すると、はなはだ錯綜しているように思われます。現実に規定の文言のうえで表現的には矛盾、衝突する点も実際にあるようにとられますが、そこには一定の原理というものが働いて、優先して適用される法とそうでない法との区別がたてられ、全体として法秩序の統一が失われないようになっております。
一定の原理には次の4 つがあります。
 A. 法の所管事項の原理
 B. 法の形式的効力の原理
 C. 後法優先の原理
 D. 特別法優先の原理

 土地家屋調査法と測量法との矛盾を解決するためには、上記「B法の形式的効力の原理」と「D特別法優先の原理」を用いれば解決できますのでこの2つの原理について説明いたします。

① 法の形式的効力の原理とは
 我国の法の全体系は、憲法を頂点に法律、政令、省令、地方自治体の条例というように段階的構造をもって組立られています。それぞれの法形式の間には、優劣の原則が定まっていますので法形式を異にする2つ以上の種類の法の間で内容の矛盾、衝突する規定が設けられた場合には、この原則に従って、いずれか一方の種類の法が優先して適用され、他方の法はその矛盾衝突する限度において適用されないことになっています。これを「法の形式的効力の原理」といいます。
 具体例をあげれば、憲法は他のすべての種類の法に対して形式的効力が強いし、法律は政令よりも強い形式的効力を有しています。
 この原理から土地家屋調査士法と測量法との優劣をみた場合にどうなるかと言いますと、どちらも国の最高議決壊関である国会によって法律として成立している法でありますから同格であるといえます。この様に法律で同格のときに、お互いの条文の文言の矛盾、衝突が生じた場合どちらを優先すべきかについては、次に説明する「特別法優先の原理」により解決することができます。

②特別法優先の原理とは
 ある事項について、広く一般的に規定している法と、その内のある特定の人、物、地域、場所、時点、期間等について、その一般的規定と違った内容の定めを規定している注がある場合に、前者を「一般法」、後者を「特別法」といいます。この場合、常に特別法が優先されますのでこれを「特別法優先の原理」と言っています。
 測量法第2 条には「土地の測量は、他の法律に特別の定めがある場合を除いて、この法律の定めるところによる。」とあり、同法第3 条には「この法律において測量とは土地の測量をいい、地図の調製及び測量用写真の撮影を含むものとする。」という規定もあります。 一方、土地家屋調査士法と測量法とについて具体的にみてみますと、土地家屋調査士法第2条に「調査士は他人の依頼を受けて、不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査、測量、申請手続きまたは審査請求の手続きをすることを業とする。」という条文があります。
 このことから土地家屋調査士法第2 条の「不動産の表示に関する登記に必要な土地に関する 調査・測量を業とする」という規定からみて前述した特別法優先の原理の、ある特定の場合を定めた法に該当しますので「特別法」となる訳です。
 他方、測量法は第2 条、第3 条の文言から広く一般的な虎定をしている法律であり「一般法」と言えます。

(4)「用地測量」業務と土地家屋調査士の業務の差異
①地積測量図の作製は、「用地測量」には規定されていない業務であります。
  「用地測量」は、公共事業の用地取得等に必要な資料及び図面を作成する作業を目的としており、最終的には、用地取得のための登記、つまり地積測量図作製に関連した業務であります。
 しかし、登記のために、最も重要な地積測量図についての規定はありません。このことからも、地積測量図の作製は「用地測量」の業務でないことは明らかであります。つまり、測量業者の専門業務ではなく、調査士業務の専管業務と理解されるものであります。

②用地測量」業務では「画地調整」及び「復元測量」について詳細な規定がありません。
 地積測量図を作製するうえで最も重要な作業は、筆界(登記法上の境界) の確認作業であり ます。「用地測量」では、筆界は、土地所有者の立会いのみで確認できるかのようですが、土地所有者との境界確認の立会いは「筆界」の確認作業の手順のひとつにすぎません。筆界は、公法上の境界であり、客観性があり、原則として立会いの合意には左右されないのです。したがって、筆界の確認には、恣意的であってはならず、客観的に明確な理由付けが必要になり、相応の調査能力が必要であります。調査士業務が「有資格者」に限定されなければならない所以であります。
 したがって、筆界の確認作業、特に地図による筆界の復元作業は、単に技術力の問題ではなく、調査能力が問われる問題なのです。地図の精度の問題から、地図の公差内の辺長の調整計算及び周辺土地との均衡調整など、「画地調整」の作業が必ず必要となります。ところが、「用地測量」では、筆界の確認作業で重要なこの「画地調整」の規定、及び「復元測量」について、詳細な規定がありませんが、調査士業務には明確な規定があります。この点は特に、強く留意されるべきところです。

③登記申請書、登記申請図面等、不動産の表示に関する登記の申請手続に関する規定は、当然ながら「用地測量」の作業項目にはありません。
 したがって、登記申請手続に関する業務は、土地家屋調査士法による土地家屋調査士の専管業務であるといえます。
 以上、「用地測量」業務と土地家屋調査士の業務とについて、それぞれが根拠とする「作業規程」と、「調査測量実施要領」について比較しますと、「用地測量」における筆界の確認作業については、登記のため必要な作業としての、緻密さに欠けると評価せざるを得ません。また、「用地測量」の調査、測量成果をそのまま利用して、地積測量図を作製することは、より専門性が必要な登記を目的とする添付図面としては、地積測量図の持つ性格からみても適格性に欠けるものと指摘せざるを得ないところであります。
 したがって、従来から行われていた「用地測量」の調査、測量成果を利用して官公署の嘱託職員が登記嘱託書を作成する場合には、土地家屋調査士と同等程度の能力がある嘱託職員であっても、用地測量による成果が登記を目的とする地積測量図の作製資料としても適切であるかどうかについて、現地の点検作業を行うなど、「用地測量」では不足する部分を補う作業が必要になるのであります。
 したがって、最初から土地家屋調査士が地積測量図を作製することが、土地家屋調査士法に則しているといえるのであります。
 それゆえ、官公署等からの嘱託登記事件の発注に対して、公共事業の適正かつ迅速な実施に寄与することを目的として、土地家屋調査士法第17条の6 により、各県公共嘱託登記土地家屋調査士協会の設立が認可されたものであります。

(5)新規発注「筆界確定測量」の必要性とその確立
 現在、測量業と調査士業との間で問題となっている点は、測量業者が「用地測量」の成果から「登記用の地積測量図」を作ることにあり、逆に、その作業が最終的に登記に関連することから「公共測量作業規程による用地測量」を、土地家屋調査士が官公署から受託しようとする事にあります。
つまり、測量業と土地家屋調査士業の接点部分が問題を起こすのであり、接点以外の部分では全く問題は生じていないのであります。
 では、どうしたら問額点をなくすことができるかを考えればよいことになります。
 現行の国土交通大臣承認による「作業規程」から、応用測量の第4 葦、「用地測量」が削除されない限り、測量業が行う「用地測量」の違法性を確定することは難しいでしょう(測量法上では正しいが、調査士法上では否と思われる。)。そこて、私達の公嘱協会は、測量業が行う作業規程の第43 7条以後の作業として、国土交通省と折衝をして「筆界確定測量」の作業項目を独立させ、「筆界確定測量」を「調査士業務」として何らかの形で確立させることが、今後の調査士会や、公嘱協会の重要な課題であるものと考えられます。
 現行の「用地測量そのものの違法性」として、測量業の行う用地測量作業の全部を調査士業務の前提測量として、調査士法に抵触するとして訴えることは無理があることから、用地測量に対応して、不登法・調査士法を根拠にして、新規発注業務として作業規程の最後の箇所から始まることになる、「筆界確定測量」を確立する事が必要であります。
 測量法による現行の「用地測量」を尊重し、「用地測量作業」を存続させ、公共事業の円滑な推進に寄与することをもって、その成果品資料を参考として、「公共嘱託登記」に限定し、「公嘱協会」がその資料を利用し、「筆界確定測量」を実施すれば、両業界が、共存共栄することができ、今まで明確でなかった業域が整理され、両業界が安心してその業務を履行できることになります。
 分離発注ではなく、「新規発注」として「筆界確定測量」が制度化されれば、従来から問題となっている、丈量図と現地との「不符合」が解消されることになり、法務行政をはじめとして、自治体、土地提供者等にも、安心と安全が確保されることになり、まさに国益に繋がる、新制度であります。
 今すぐに両業界と、関係官公署等がこの新しい方策を制度として確立することに取り組み、充分な検討により、その実現のための努力をすることが課題であると考えるものであります。

<参考>神奈川県 資格申請手引抜粋「資格基準」


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